ももクリのムードメーカーMさん

今回のブログはデイの利用者の方のお話しをしたいと思います。

主人公のMさん(男性・匿名希望)

 

当デイケアを利用されてからずいぶん経ちます。調子の波はありますが、最近はとても元気に利用されています。

 

そんなMさんはオセロとトランプゲームの「大富豪」が大好きです。デイのプログラムの合間によく集って楽しまれています。

特にオセロはスタッフと対戦する事が好きなようで、スタッフを見つけては誘ってきます。

時間が許すのであればスタッフも快く引き受けてきたのですが、最近その様子が変わってきました・・・・

 

それは彼のゲームの「手法」にありました。

たとえばオセロ。

ゲームを始めて少しすると

 

「あ~強いわ~」

「これはぼくの負けやわ~」

 

などと言って相手の気持ちを油断させます。

確かに最初はオセロ盤にはMさんの黒は少なく、こちら側の白が有利です。

ですが、それはMさんの作戦であって、私のように技術もテクニックももっていない人間は簡単にひっかかってしまい、隙ばかりです。

 

中盤に差し掛かるにつれて「ニヤッ」と不敵な笑みを浮かべるMさん。

もうすでに完全に彼の手の内の中。

白に染まっていた盤が次々と黒に替っていくのです。

 

焦るスタッフを横目にためらいもなく黒に染めていく・・・

 

そして完敗・・・・

彼と互角の実力を持つ、男性スタッフのM政もこの日は惨敗。

-「1つのミスで大きな敗北…」(M政談)-

「手加減」などという言葉はMさんの辞書には存在しません!!!

 

私は一度も勝ったことはありません(涙)

最近の私は誘われても勝てないので彼に意固地な事を言ったりして、彼に軽い「反抗」しています(笑)

 

また大富豪では、

ババあり2枚。一回の勝負ごとに負けた相手は勝った相手に持ち手の一番いいカードを、勝った相手は負けた相手に弱いカードを2枚ずつ渡すというルール。しかも。革命なし。

 

大富豪のルールが分らない人にはなにを言っているのかさっぱりわからないかもしれませんが、とりあえず、一度負けたら二度と勝てないルールの中で勝負をかけてくのです。

 

なので私が勝つことは皆無。

そんな人を相手に勝負は続きます。

 

スタッフも大人です。負けてもあからさまに悔しい顔などはしませんが、心の中では

悔しさでいっぱいです。

でも、そんなスタッフをあざ笑うかのように勝負をかけてくるのです

 

このようなことが最近のデイでの日常です。

 

オセロ、大富豪をするMさんの周りには自然と人が集まります。

それはスタッフの

「うわっ!!」 「ああああ!!」 「そんなのずるいわ~!!」(ずるくはないんですよ。でもこんなときは自分の弱さを相手のせいにしたいものですよね)

の声についつい気になってしまうのでしょう。

横からちゃちゃを入れる人、声援をかけてくれる人、じっと盤を見つめ、自分の中で

もう一つゲームをしている人など様々です。

 

このゲームは周囲の人にも何かしらの「刺激」を与えている様です。

二人の勝負の掛け声ににやけたり、向こうの方で笑い声が聞こえたりと

参加しているのはプレイヤーだけでなく、ここにいる「みんな」でした。

 

それに気づいたとき、Mさんはスタッフにいじわるしているのではなく、そのプレイを

通して、周囲を和ませる、「空間の魔術師」なんだと知りました。

 

記事:スペンサー

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