事業所クリエイターズの見学 デイケア利用から、次のステップが見えてきた!
2月10日のことですが、ももたにクリニックデイケアは、和歌山市にある、すごい事業所に見学にいってきました。
それは和歌山市役所近くにある就労継続支援A型事業所「一般社団法人クリエイターズ」。
名前からしてかっこいい。かっこいいだけにデイケアでは話題が持ちきりでした。「友だちが行ってみたら、面白いと言ってた」「デイを卒業したまっちゃんが働いているよ〜」など。しかもちょっと調べてみたら、まちづくりなどを積極的に手がけている有限会社パッシュさんがやっているではないですか!
※就労継続A型事業所についてはこちらのブログをご参照ください。
厚労省のHPにも説明があります。
ならば、「行ってみたい!」ということでスタッフ、メンバーともども満場一致。見学をお願いすることになりました。
早速スタッフが電話。初めて連絡をとる事業所だけに緊張して受話器を握る。
ドキドキ・・・・!!!
「・・・pururururu ガチャ はい クリエイターズです」
『カクカクシカジカ・・はい。そうです。・・それで見学をぜひご検討いただけると幸いです。よろしくお願いします。』
「見学ならいつでもウェルカムだぜ!」
(そんな言葉遣いではありませんがそれぐらい輝いて聞こえました。)
ということで、クリエイターズ見学が決まりました。
まずは作戦タイム。
見学をただ足を運んでみてくるだけではなく、より充実させるために事前に、「見学したい理由」「ききたいこと」などを参加希望者で話し合うことをしました。
仕事の時間や内容もそうだが、「トイレは行きたい時にいけるのか」「体調不良のときは対応していただけるのか」「突然笑い出しても大丈夫なのか」と意見がでました。
おおぉ。最後の質問はデイメンバーのOさんやね。Oさんは記憶力がよく、過去の面白いできごとを刻銘に記憶しています。それゆえにその出来事を突然思いだし笑います。まるで笑いの時限爆弾。デイでは絶妙な雰囲気をつくりだす効果がありますが、確かに職場で突然笑うと怪しい・・・。
事前に訊いておく方法をとるとは。ナイス質問、ナイスアイディアであります。
次にスタッフはさっそく場所を知らべました。ぽちぽちっと。
なるほど。
和歌山市役所の裏のほうにある湯浅醤油をつかったラーメン屋 醤(ひしお)本店から、大きな道路を挟んで反対側にある。
なるほど
和歌山市駅から徒歩5分。城北橋バス停より徒歩3分。といったところ。
なるほどなるほど
公共交通機関が使える方ならば、比較的アクセスはしやすい。
そして当日、ドキドキしながら赴きました。
ビルの1階にある事業所。そのドアをノックしながら、「こんにちは〜」と社内へ入っていく。
すると
「こんにちは〜どもども〜♪」とほっとさせてくれる挨拶。緊張していた心が雪が溶けるようにほぐれました。
あとは事業所の空気感と働いている方のお話が温かく包んでくれるのでありました。
クリエイターズはホームページのデザインやまちのイベントのお手伝い、和歌山のおみやげ品などをつくったりしているとのこと。見学した時は、近々開催されるイベントに缶バッチ販売のお店を出店される準備をしていました。
説明されたのはスタッフではなく、ホームページ作成を担当されている障害当事者。
・・・・・すごい!
しっかり自分の仕事を把握し、プレゼンされている。(実は別の機会に知り合い、お世話になった方でした。いろいろ繋がります。)そんな説明途中に、ほかのクリエイターズの方が「どんなソフトつかってるんですか〜?」など、合いの手が入る。気兼ねなく言葉が交わせる温かい雰囲気が伝わってきました。
ももたにデイの方々も事前に話し合ってきたことを質問しました。そして、ひとつひとつ丁寧に回答をもらいました。
職場を色々見せていただき、こちらの質問にも軽快に答えていただきました。
こうしてクリエイターズの見学は終わりました。
お礼を言って、デイに帰る途中で、「どうだった?」、「雰囲気がいいね」と話は途切れることなく続きました。
帰ってからは、見学に行けなかった方々に様子を伝えました。
見学前にホワイトボードにまとめたことは、ぎっしりとうまりました。
今回、クリエイターズを見学させて頂き、「素敵だな」とおもったことがいくつかあります。
ひとつは「仕事の意欲に投資してくれる」ということです。
A型事業所は雇用契約を結びます。最低賃金が保証されます。そのため普通は雇用保険の関係上、週20時間以上の労働時間が求められます。普通は、と言ったのは一般的な話だから。クリエイターズは一般的ではない状況にも対応していただける。働く意欲があるならば、将来的に20時間以上を目標に、最初はそれ以下の時間でも対応してくれるとのこと。働きたいという気持ちがあれば、できるだけ希望者の状態に寄り添ってくれる。
また、素敵ポイントのふたつ目は、となりにパッシュというデザインの会社があり、プロのデザイナーが近くにいるということです。
それは経験豊かな本物が近くにいるということで、仕事をする上でかなりの強みではないでしょうか。
そして、みっつめのポイントは、クリエイターズの理念。「生き方と地域をクリエイトする!」。クリエイトは作りだすという意味。
生き方だけでなく、地域を作りだしてやろうという気概を感じました。ええですね!個人がかわるだけでなく、生活を取り巻く環境、つまり街を視野に入れている。ここは非常に共感しました。
色々な学びと笑いと刺激になったクリエイターズの見学。
一般的に福祉施設を利用されている人を「メンバー」「利用者」と呼びます。しかし、クリエイターズでは「利用者」「メンバー」という言い方は失礼かもしれない。そこで働いている人は「クリエイターズ」で働く「スタッフ」とであると私は思いました。
見学案内をして頂いた方が、「僕たちの仕事の先にはお客さんの顔がある。だから責任をもって仕事をしている」と話されていました。その一言に、「福祉事業所だから質が悪くても許してくれるでしょ・・・」ではない「仕事への意識の高さ」を感じました。
お忙しいところ、見学を受け入れていただいたクリエイターズの皆様、本当にありがとうございました。
今回、見学の出発点は、デイケアのみんなの「行ってみたい」という気持ちでした。その出発点があったからこそ、沢山の収穫がありました。「ここで働いてみようかな」「他の事業所もみてみたいな」といった次の広がりもでてきました。
精神科のデイケアはずっとそこに留まるものではなく、次のステップへのきっかけとなる場でもあります。
利用されている一人ひとりの力に気が付き、生活の広がりがもてるデイでありたいと、今後もユーモアをもちつつも活動を真剣に取り組んでいきます。
文責 峰政 裕一郎(ソーシャルワーカー)
※ 以前はudonsukyでしたが、本名にしました。